会社を売却して去った経営陣は冷淡だったが

理解のない上司 会社が買収された

会社が売却されることに対し親会社から来た人間のほとんどは冷淡だった。

というのも今回の決断は親会社の上の方で決まったことであり、おそらくうちに出向してきた彼らにそれをどうこうすることは出来なかったのだろう。

俺たちに会社売却の衝撃が走っている時も、彼らからはこのような結果になったことに対する詫びみたいなものはなかった。自分達に責任があるとは考えてなかったようだし、会社売却が終わったからさっさと他に移ろうみたいな態度が見て取れた。

だが、なぜこういう結論になったかについては彼らはかなり時間を割いて説明をしてくれ、俺たちの質問にも応えてくれたのでその点はちゃんとしてくれたと思う。

とにかく俺たちが想像していた未来は変わってしまった。

会社が売却されたことで全ての計画は白紙になった。

例えば俺の60歳の退職金はおよそ800万円で、そのうち300万円は毎年前払いされる予定だったが、転籍してからの退職金についてはわからない。

一応退職金があるらしいが40代半ばで転籍した場合にどれぐらい貰えるかわからない。

それどころか勤務地も大阪ではないかもしれない。

親会社の意向で本部機能を東京に集約していっているらしく、俺が所属しているシステム部も東京に機能をどんどん移しているらしい。

俺たちが転籍するのは2年後なので、その時に新親会社とうちの会社をとりまく環境がどうなっているかはわからない。

もっと近い話で言うと来年度の昇給や賞与がどうなるのかわからない。

会社は清算を目指すので売り上げ、利益ともに下がる方向になる。その状況で俺たちをどのように評価するのかはわからない。

もうわからないことだらけだ。

ドラフト1位とドラフト下位はやっぱり違う

新しい親会社の人間が来てわかったことがある。それは来ている人のレベルが元の親会社と比べて1ランクから2ランクほど下がったということ。

元の親会社は超がつく大企業で今思えば働いている人は優秀な人が多かった。もちろん、その中でも色々差はあるのだけど、新しい親会社の人間と比べると違いが明確に感じた。

例えば新経営陣との個人面談があったのだが、俺の前に控えていたメンバーが相当ネガティブな訴え(将来が不安だとか)をしたらしく、俺の番が回った時には彼らの疲労困憊が見て取れた。

俺はそれがわかったので当たり障りのない雑談を10分程度したのだが、「もうこれでいい?」なんて感じで適当に終わってしまった。彼らには従業員の声を広く聞くというのは建前で、とにかく一応やったという事実があれば良いのだろう。

今回の買収でわが社に乗り込んで来た人間は旧の親会社である大企業に食い込むための特命を帯びた人間のはずだが、それにしては……ということが多い。

同僚も新親会社のそれは感じていたようで、口に出さないだけでみんな転職は頭によぎっているらしい。

会社が売却されてから給料も待遇も何も変わっていないのだけど、管理者のランクが下がったというのは既にみんな重く感じていて、いやな予感がしている。

俺は既にその洗礼を受けているが。

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