楽しかった90年代という感じで振り返ろうと思っていたけど、実は中学時代の記憶がほぼ無いことを思い出した。
僕は中学に入る頃の記憶と、卒業式を控えたもうあと数日で終わるという段階の記憶はあるが、その間の記憶がない。
友達と遊んだ記憶もほぼないし、あの長い時間をどう処理していたのだろうと思う。
多分、あまりにも判で押したように同じ毎日だったので、記憶しておく必要が無いと脳が判断したのかもしれない。
思春期を迎え、腕力の強い奴はヤンキーになり、スポーツや勉強の出きる奴はそれらに打ち込んで、面白い奴がクラスの人気者になっていた頃、僕は息を殺して生きていた。
それでいて目立たないグループで集まるのも、何かみっともない気がしてイヤだった。
僕は友達も居ないし、休み時間はずっと寝たふりをしていたような気がする。
それは思春期を迎えて皆が見せたギラギラした自我から隠れるためと、自分もまた持っているギラギラした欲望を隠すためだった。
人生やり直せるとしても、中学生の頃には戻りたくない。
- 何もないならとりあえず金だけは稼ぎたいとパチンコ屋でアルバイト
- ビールを買ってきて飲んで、洗面所で吐いた20歳の夏
- パチンコ屋で得た100万円とわずかな自信
- 2浪目の大学受験に向けて戦略を練る
- 戦略に従って勉強して、大学に無事合格
- 喜びは一瞬で過ぎ、一人ぼっちの2浪大学生の誕生
何もないならとりあえず金だけは稼ぎたいとパチンコ屋でアルバイト
とにかく惨めな気持ちだった僕は、金ぐらい稼ぎたかった。何をしようというのはなく、とりあえず金を稼ぐことだけ考えた。
ゴールデンウィークも過ぎた頃、僕はパチンコ屋でアルバイトを始めた。
時給は1250円。朝9時から夕方5時までで、7時間勤務だったと思うし、休みは週に1回だったと思う。食事もついていた。
高校時代の友達がパチンコにハマっていたが、僕はギャンブルは全くやらないタイプだったので、パチンコには馴染みが無かった。
それでも高時給に釣られて入ったのだが、その当時の僕にはキツイ仕事だった。
パチンコ屋の客層が酷いのは当然だが、高卒で若い甘ちゃんの僕にはフルタイムで働くことも、大人とたくさん接することも辛かった。
ビールを買ってきて飲んで、洗面所で吐いた20歳の夏
当時の僕にはキツイ仕事だったが、それでも失恋の辛さとそれに負けたくないという反骨心が若かった僕にはあり、こなすことは出来た。
なので当時の出来事を思い出しても勤務最初の頃に、立ちっぱなしで足が痛かったぐらいだ。
お店に来る客層ももっと酷い場所があったので、マナーの悪い奴は居たがまだマシな方だった。
バイトに慣れた頃は、二十歳を迎えていた。
夏で若者は仲間と海だ山だ、街のクラブだと楽しんでいた頃、僕は場末のパチンコ屋と家を往復していた。
仕事終わりに背伸びをしたかった僕はビールを買い、CMのように一気飲みをした。
でも、苦くて洗面所に全部吐いたのを覚えている。苦味が少なくて、飲みやすいと聞いたバドワイザーなのにダメだった。
パチンコ屋で得た100万円とわずかな自信
秋になるとほぼお金を使わなかった僕の手元には100万円近い貯金が出来ていた。
パチンコ屋で働いたこと、お金を貯められたことは一応の自信にはなった。
自信が付いた頃には周りも少しは見えるようになり、パチンコ屋にいる30代フリーターや正社員の人を見て、このままここに居ても仕方が無いと思った。
稼ぎも当時の僕には悪くなくて、周りの人も親切で、店長のことは本当に慕っていたのだけど、僕はパチンコ屋を辞めた。
再度、大学受験するためだ。
このままパチンコ屋に居ても、僕を振った彼女を見返すことは出来ない。
つまらないことだが、一瞬100万円貯まった時に全額銀行から下ろして札束で遊んだことがある。でも、これってみんなやるんじゃない?
2浪目の大学受験に向けて戦略を練る
大学受験をするに辺り、戦略を練ることにした。
大学受験をすると決めたのは秋。2浪目だが時間は無い。効率的にやらないと絶対に合格しない。
まず、僕は家庭教師などをやっている友人に頭を下げて、大学合格のために何を勉強すれば良いか、何に力を入れて、何を捨てるか、どんな参考書や問題集が良いか聞いた。
今のようにネットで何でも情報がある時代ではなかったので、情報は貴重だった。
僕は彼の言うことに素直に従った。
というか2浪目の秋になって、僕はやっとそんなことを考え始めた。
高校卒業時も浪人1年目も受験のことなんて、碌に考えてもなかった。
少しの成功体験を得た僕は、受験にやっと取り組めるようになった。
戦略に従って勉強して、大学に無事合格
受験勉強ブログではないので、詳しくは書かないが、彼の教えはまず英語に全力を注ぐ。
日本の私立文系大学の入試では英語が出来ないと話しにならない。
英国社の3教科のうち国、社は後回しで、とにかく英語を戦えるレベルまで上げろとのことだった。
「お前が受けるレベルの大学なら、そんな勉強法で充分受かる」という、彼の言葉に従った。
具体的には文法の復習、英単語の暗記をやり、冬になる頃には赤本を買ってきて過去問を繰り返した。
その頃には国語、社会にも申し訳程度に手をつけた。
結果、僕は希望していた学部は落ちたものの、大学自体には合格した。
さらっと書いたがこの短期間で大学に合格したことは、ものすごい成功体験になった。
ずっと自分に自信が持てないでいた自分にとって一つの勲章となった。
しかし、これが悪い意味でずっと後に自分の選択を間違わせることになる。
喜びは一瞬で過ぎ、一人ぼっちの2浪大学生の誕生
二十歳の年はパチンコ屋でのアルバイトに大学受験と、かなり頑張った年で、大学合格には母も喜んでくれた。
僕も頑張りが報われたと思っていたが、喜びは一瞬だった。
粋がったホストみたいなスーツに身を包み、大学の入学式に参加したものの、たまたま高校時代は友達が多く出来ただけで、コミュ障気味で、自意識過剰な僕が2浪という経歴を気にしないわけがない。
プライドと劣等感で揺れ動きながら、誰に話しかけることもせず、一人で大学の喫煙コーナーで煙草をふかすばかりだった。
友達も知り合いも全くできず、一人ぼっちの2浪大学生が誕生した。
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