90年代までは少年ジャンプも少年マガジンにもヤンキー漫画がたくさん書かれていた。
ろくでなしブルース、ぶっこみの拓、カメレオンなどが思い浮かぶが、リーゼントにケンカに明け暮れるヤンキーなんて、90年代当時10代だった僕らにしても既に時代遅れで、殺伐とし過ぎだろと思っていた。チャンプロードというヤンキー雑誌を見て、笑っていたし。
そもそもそれらは80年代的で、90年代的な不良モノはジャンプのBOYなのかな。あとドラマでは、池袋ウエストゲートパークだけど、あれはもう2000年代だもんな。
90年代はストレートな不良モノより、音楽とかファッションとかに若者の意識が向いていたような気がする。
だけど、最近引退した安室のアムラーなどギャルにチーマー、ギャングなど、今思えば若者カルチャーは今よりびっくりするぐらいヤンキー的であった。
そういえばスラムダンクも幽遊白書も主人公はヤンキーだったし。でも、後半はヤンキーなんて関係なくなるのが、90年代の雰囲気を表している気がする。
- 仮面予備校生、仮面浪人ならぬ仮面フリーター
- たまたま付き合えただけで、力関係では上の彼女
- 僕は卑屈になり、彼女は調子に乗った
- 受験勉強に身が入らないまま秋を向かえ、冬になる
- 大学受験を止めることにする
- 大学受験に失敗。そして、彼女にも振られる
- あとがき
仮面予備校生、仮面浪人ならぬ仮面フリーター
受験界隈では仮面浪人という言葉がある。これは大学に進学し、大学生という仮面を被りながら、受験勉強をしている浪人生を仮面浪人という。
一方で高校を卒業して、どこにも所属しないのを嫌がって予備校生になった僕は、予備校生の仮面を被った単なるフリーターだった。
予備校に行っても全く勉強せず、バイトをして彼女と時間を過ごすことだけを考えていた。
それだけ好きだったとも言えるし、それぐらい時間を割かないと彼女が離れていく気がしていた。
彼女は多くを語らなかったが経済的な理由で進学しなかったのは確かで、高校卒業後はバイトもせず家事手伝いとなっていた。
また、そもそも結婚願望が強いタイプでもあったので、進学できないなら、さっさと結婚したいと思っていたようである。
たまたま付き合えただけで、力関係では上の彼女
僕は無意識に彼女を格上だと思っていた。
たまたま高校で僕が人気者グループに紛れ込んでいたから付き合えただけで、これが学校外なら相手にもされていないだろうと思っていた。
現に高校時代はどちらかというと僕>彼女だった力関係は、卒業するとすぐに僕<彼女になりかけていた。
僕は粋がりたい年頃でありながら、何も自信が無かった。
背も低くて、ガリガリで、ケンカも弱くて、意志も弱い。挙句に勉強もダメで、ちなみにオンチでもある。
だから彼女と居続けるためには、彼女と多く時間を過ごす以外に方法は無いと思っていたのかもしれない。(単にヤリたかったという気持ちも否定しない。)
僕は卑屈になり、彼女は調子に乗った
僕は浪人生でありながら全く勉強せず、彼女も19歳と若いのに、外で働くこともなく、なぜか家事手伝いをしていた。
どちらも自分の現状を良くないと思いつつも、どうして良いかわからなかったのだと思う。
僕はそのストレスを彼女に依存することで解消しようとし、彼女は僕にそのストレスを直接向けるようになった。
彼女は僕に対して強気になり、時折、僕なんてどうでも良いという態度を取るようになった。
僕はそんな彼女の気持ちを繋ぎ止めるために、抵抗せず卑屈になった。
夏には僕が全額出して旅行に行き、その他にも飲食費などデート代は全て自分が奢るようになった。
それでも彼女の気持ちが離れていっていることは明らかだった。
受験勉強に身が入らないまま秋を向かえ、冬になる
時は流れてあっという間に秋になり、12月になろうとしていた。
仮面フリーターの僕もさすがに大学受験のことを考えた。全く勉強しないまま半年以上が過ぎ、もう大学受験は目の前だ。
彼女への気持ちは相変わらずだが、とにかく受験に集中するために一時的に距離を置くことをお願いした。
そして、彼女とのデート代を稼ぐために週4日やっていたコンビニアルバイトも辞めた。
この決断は正しかったと思う。でも、遅すぎた。
「車は急に止まれない」という標語があるが、「人間は急に動けない」。いざ、受験勉強のための時間を用意しても、手が動かない。
机の前で冬なのに、ほぼ新品の参考書や問題集を眺めるだけで時間が過ぎていく。
年が明け、願書出願の時期が来た時に決断する。
大学受験を止めることにする
大学受験のための試験代は高い。当時で3万5千円ぐらいしたように思う。
母子家庭の僕が予備校代を80万円ほど出してもらっておきながら、勉強を全くせずに、3万5千円の絶対に合格しない大学の試験代を出してもらうのは悪かった。
だから、僕は出願をしないことにした
今考えても、この決断は正しい。ただ、予備校に伝えると担当社員?(担任のような役割)から怒られた。
「君が進学しないと、うちの予備校の大学合格率が下がる。だから、どこでも良いから受かる大学を受けてくれ」と頼まれた。
最初はこの頼みに反感を持った僕も、全く大学に受からないままより、受かったけど進学しなかった方がカッコはつくというクズな考えを持った。
なので、僕は名前は伏せるが僕でも受かる大学に出願し、合格した。そして、進学しなかった。
大学受験に失敗。そして、彼女にも振られる
彼女とは高校を卒業した12月に距離を置き、月に1回ぐらいは電話していたと思う。
その彼女に進学しないことを伝える電話をしたのは、いつだったかもう思い出せない。約20年前だしね。
でも、距離を置いている間にフラれたことは確かだ。彼女は地元のヤンキー上がりの元彼と復縁した。
僕は大学受験にも失敗し、大切に確保しておきたかった彼女を失った。
この挫折は大きかった。
新入生、新社会人の季節の春に、僕は何にも無かった。
元ヤンキーで浮気ばっかりしていた元彼と復縁したことも、僕の劣等感をひどく刺激した。
僕は予備校を卒業し、大学に進学せず、彼女にも振られていたので、全く勉強する気になんてなれなかった。
どうして良いかわからないまま高校を卒業して2年目を迎えた。
あとがき
やるべきことや自分に物凄いコンプレックスやを抱えながら、それを必死で見ないふりをしてて、客観的に見て何にも考えていない19歳だった。
ただ、感じて反応していただけ。昆虫のようだ。
予備校に行ったのだから、大学受験を進路として考えていたが、全く勉強はしなかった。
一方で彼女を繋ぎ止めたいと本気で思うなら、就職するのか進学するのか。どちらにせよ明確にビジョンを示すべきだったが、それもした覚えが無い。
ただ、彼女の傍に居て、彼女の体を求めていただけだから、今思うとフラれたのも仕方が無いかとは思う。
でも、この当時はこの別れはキツかったんだよなぁ……。
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