20年ニートをやった長さんの親父が亡くなったあと

契約社員

仕事を辞めてしばらく経ったころ、かつてのバイト仲間から数年ぶりに連絡があり、飲みに行こうと誘いがあった。

正直言って気分が乗らなかったのだが、20年間ニートをしていた長さんも来るとのことで彼に会いたいのもあって行くことにした。

約20年の無職引きこもり、ニート、ブランクありの長さんという友達

長さんは過去記事を参照して欲しいが、20年間ニートをしてた剛の者である。

親がニート生活を全く責めずに彼に就職や結婚も望まず、親の脛を齧りながら家にずっと居れば良いという姿勢だったので家族円満で心に病みを抱えないままニートをやってきた変わり種だ。

俺は長さんが精神的に闇を抱えていないのは素晴らしいことだと思うものの、自立を全く求めない彼の両親は実質虐待をやっているみたいなものだと思っていた。

先日、共通の知人から連絡があり、長さんの親父さんが亡くなったのを聞いた。

飲み会では他の人も居たのでそこには触れられなかったが、長さんに昔やっていたパチンコやソシャゲーの調子はどうと聞いてみた。

彼は両方とも今はやっていないと言っていた。

それじゃ給料が余って仕方ないですねと言うと彼は気まずく笑うだけだった。

彼は1日4時間の週4日しかバイトをしていなかったし、今もそうだと聞いた。月の給料は7~8万円で、健康保険は親の扶養に入っていて国民年金は払っていなかった。給料はパチンコ、タバコ、酒、ソシャゲで使っていた。

彼も親父が死んだ今、今までのような生活をしていてはダメだと気づいたのだと思った。だが、それは彼が40代半ばになって親父が死んでからだった。

過剰な優しさの中で長さんを育ててきた両親は自分らが死んだ後のことを考えていたのだろうか?

俺はそうは思わない。

 

長さんは生活面では親の脛をかじりっぱなしではあるものの、バイトには情熱を燃やしいつも仕事への思いを語っていた。今回も同じく熱く仕事について語っていた。

俺はアルバイトの単純作業などバカにしていたが、彼はいつも4時間の勤務時間の間は全力だったし、ミスをすると滅茶苦茶悔いていたし、上手くやれた時は嬉しそうだった。

今、長さんはバイト以外の色んなことに気づいたのだろうし、今の彼ならこれから先もやっていけるだろうと思った。

勝手に心配していたけど立派になった長さんを見て俺は安心したし、うれしかった。俺はいつも長さんの虫歯だらけの歯を治せと言っていて、昨年彼の誕生日にそれを送ったら返事が無かった。多分、以前から続く俺の上から目線の態度に嫌気が差したのだろう。

長さんに俺は子供部屋おじさんを止めて自立して、仕事もついでに辞めてしまったよという個人的な話はできなかった。そして、もう彼に会うことは無いと思った。

さようなら長さん。お互い頑張ろう。

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